くすりの作用する受容体

くすりの作用する受容体


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薬理学が受容体の学問であると言っても過言ではありません。薬理学を語る上では、受容体についてはかなり詳しく説明する必要があります。少し難しいですが、受容体のすごさと巧妙さが理解できるはずです。

 

「薬理学が受容体を発見した」のですが、「薬理学は受容体の学問だ」といって差し支えありません。受容体のしくみをうまく使い、病気の部位や臓器、病原体を特定して、くすりを作用させられます。正常な体の働きは、そのままに治療をすることができるのです。

 

くすりの作用する受容体

 

最初から決まっている薬が結合する受容体

 

受容体は、細胞内や細胞の内側(細胞質)などに存在する、巨大タンパク質分子であることが分かっています。薬物はこれに結合して、細胞に反応を引き起こします。いろいろな薬物に対して、対応する受容体が存在することになります。1つの細胞には非常に多くの受容体が存在することになります。

 

もしも、薬物がどの受容体に結合するかが決まっていないで何とでも結合が可能であるとすると、薬物の反応は一定しません。目的とする反応以外の効果が出てしまうこともあるでしょう。

 

しかし実際はそうでなく、同じ薬物はいつも同じ効果を発揮します。これは薬物と結合できる受容体の種類が決まっていることを示します。このことは鍵と鍵穴に例えられます。鍵が違えば決して開かないのです。この関係を、選択性がある、あるいは特異性があるといいます。

 

 

選択性を産み出す受容体

 

選択性があることは、とても大切なことです。心臓に作用するくすりは、心臓に対応する受容体があります。他の臓器には、効果がないのです。前節の化学療法や抗生物質も同じ原理なのです。感染した病原微生物の退治には、強力なくすりが必要です。消毒薬が思い浮かぶと思います。

 

でも、消毒薬を飲んで治療する人はいません。消毒薬には選択性がなく、全ての細胞を破壊してしまうのです。感染症の治療には、病原生物だけに効き、ヒトの細胞には影響を与えない、といった目的で開発された「抗生物質」を使います。

 

言い換えれば、病原微生物は抗生物質の受容体を持ち、ヒトの細胞は持っていない、ということです。その結果、抗生物質は病原微生物に「選択的に」反応するのです。




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