くすりは飲み過ぎてもいけない

くすりは飲み過ぎてもいけない


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薬物は、少量で効果が大きいのだからたくさん飲めば、もっと効果が出るかと期待しますが、実はそうではありません。薬物の作用は「頭打ち」になります。たくさん薬を飲めばいいというものでもありません。

 

くすりは飲み過ぎてもいけない

 

比例しない用量と反応

 

薬物と受容体が結合すると、細胞に反応を起こします。薬物の量が多いと効果も大きそうですが、作用はそんなに大きくはなりません。動物実験でも、ごくわずかの薬物では効果はありません。ある量から効果が出ます。これが有効用量の最低値です。次第に量を上げていくと効果は大きくなりますが、ある用量を超えると、反応は一定となってしまいます。用量には、最大値があります。

 

用量と反応の間の関係をグラフにしたものが、「用量-反応曲線」です。横軸は、薬物濃度を対数表示しています。S字のカーブを描くのが特徴です。このS字状の用量−反応曲線は、薬物と受容体の結合特性によるものです。これは薬物の方が受容体分子よりも多く存在しているためです。薬物の分子は、固い結合でなく付いたり離れたりしています。

 

反応が起きるためには、多くの薬物が次々に受容体に「結合−解離」を繰り返しながら反応しているのです。少なすぎると、解離が早く活性な結合体が少なく反応が起きません。逆に多すぎても、受容体にくっつく薬物の量には限りがあります。その量を超えて存在していても、活性な状態にはならないので反応は受容体の濃度以上には大きくならないのです。

 

消毒薬を使った場合は、用量−と反応の関係は直線的です。使用量に応じた反応速度が得られます。用量と反応速度が「S字」の関係にあることは、薬物との反応に受容体が関係していることを示す証拠です。

 

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用量は正しく守ろう

 

少し難しいですね。「専門家が考えること・・」でしょうか?しかし、普段、くすりを使っているのは我々自身です。知っておくべきことではないでしょうか。使用法が市販品のくすりには添付されています。薬局でもらう場合も薬剤師から必ず説明があり、袋には用量と使用方法が書かれています。

 

従って、その量を守って使用することが大切です。少なすぎても効果がありません。多すぎると、逆に副作用が出ることもあります。用量−反応曲線のイメージを持って、くすりを使ってもらえれば、その用量の意味もわかって、体に適正で安全な使い方ができます。

 

 

悲しい事件も起きている

 

昔、新聞報道された悲しい事故です。元気で仲がいい兄弟がいました。小学校から帰った兄弟の顔色が優れません。お母さんは熱を測ると微熱がありました。比較的元気そうなので、買いおきのかぜ薬を飲ませたのです。食事の支度をしている間、二人は元気に遊んでいました。ところが急におとなしくなったので、様子を見ると二人共倒れていました。

 

救急車で運ばれましたが、既に死亡していました。原因は、早く元気になるように、お母さんが多めにくすりを飲むように子供に言ったことです。子供は買い置き薬の半分ほどを飲んでしまったのです。

 

お母さんには、くすりの適正用量があることが、知識としてなかったし、くすりは安全なものという先入観もあったと思います。子供もそうでしょう、毒とは思いません。しかし、このようにくすりと毒は両刃の刀です。くれぐれも、用法用量には意味があるので、守っていただきたいのです。




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