経口薬と坐薬について

経口薬と坐薬について


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普通は、くすりは飲むことで取り入れます。口から入ったくすりは、消化管で吸収されます。また、おしりから入れるくすりである坐薬も、消化管で吸収されます。消化管で吸収されるくすりを考えます。

 

経口薬と坐薬について

 

かたち、使い方はいろいろある薬

 

くすりには飲み薬、湿布のような貼り薬、医師の扱う注射薬、お尻に使う坐薬、吸入薬など、いろいろなものがあります。飲み薬だけでも、錠剤・カプセル・粉薬・顆粒・シロップ・ドリンクなどがあります。なぜこんなに種類があるのでしょう。

 

これらは、必要とする部位にいかに早くくすりを届けるかを考えた結果です。細胞に効果的に作用できるように、到達させねばなりません。心臓に必要なくすりを、直接塗りつけられません。ではどうするか。血液はからだの隅々まで満遍なく行き渡っています。この血液に、くすりを入れる方法を考えたのです。

 

 

伝統的方法である飲むという方法

 

食べ物を摂るのは、体の中の細胞に栄養を取り入れるためです。人は昔から経験的に知っていました。基本的には口からくすりを入れて効かせようとしたのです。薬と食べ物は同じと考えられていました。古来、滋養のあるものはくすりとも捉えられていました。トマト、牛乳、ニンニク、ショウガなど香辛料、タバコ、お酒さえもそうでした。

 

薬草などの生薬も口から摂取しますが、西洋ではスープに、漢方では煎じて与えられます。有効な成分だけを取り出して効果的に摂取するのです。お酒につけて溶かし出す(抽出)のも洋の東西を問わず行われてきました。薬用酒もよく利用されています。経口薬は、この口から摂取するという伝統を受け継いでいるといえます。

 

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細胞膜を通過する経口薬

 

経口薬の利点は、「簡便性」です。大半のくすり(処方薬、市販薬)は経口薬です。胃や腸の粘膜から有効成分が吸収され、血液内から全身に回ります。薬物の粘膜からの吸収はどうやって起こるのでしょう。

 

薬物が粘膜から吸収されるとは、どういうことかと考えてみます。粘膜上皮細胞を通過することが必要です。消化管と血管側と2回です。これは、脂質二重層と呼ばれる「あぶら」でできた構造になっています。水に溶けやすいくすりは、この膜を通過できません。

 

アミノ酸やグルコースなどは体に必要なもので、ヒトのからだは、それらを運搬する輸送体を持っています。でも、異物であるくすりなど本来からだにないものは、そういったものがないため水溶性の高いくすりは、体に吸収されることはないので、全身に作用する薬にはなれないのです。

 

しかし、脂溶性の物質は直接細胞膜を通り血液に入ってくるので全身に作用します。こういった理由から、経口薬は脂溶性がある程度あることが求められます。水溶性のくすりは、粘膜を通過しないことを利用して用いられます。例えば、胃の酸性を抑える制酸剤、消化を助ける消化酵素製剤、腸内で脂質をとる高脂血症治療薬、腸内細菌を是正視聴機能を整える乳酸菌製剤などです。

 

 

薬を胃液から守る

 

胃液は強烈な酸性です。経口薬はここで性質が変化してしまわないようにすることが大切です。カプセルにしたり、腸溶錠というアルカリ性で融解する剤形にすることもあります。

 

経口薬は、消化液にある消化酵素に出会いますので、酵素で分解されるものは使えません。インスリンなどのペプチドホルモンなどですが、これらは酵素で簡単に壊れます。経口薬でなく、注射しか使えません。

 

 

経口薬がきらいな子供

 

散剤(粉薬)は分量の加減が簡単です。医師は処方しやすいこの剤形を好みますが、子供は苦手なものです。そこで子供にはシロップとしてよく与えられます。甘い顆粒の薬も子供にはそれほど効果はありません。子供への対応はカプセルや錠剤でもなかなか難しいものです。

 

 

口ではなく、おしりから入れる座薬

 

坐薬も処方薬でよく用いられます。有利な点は、吸収速度が非常に速いということです。坐薬は体温で溶けるようにできています。直腸の粘膜から直ちに吸収され血液循環系に入ります。急な発熱や嘔吐などを止めるには非常に有効な手段です。特に子供には有効です。

 

しかし、頻繁に使えません。どうしても直腸の粘膜を傷つけるからです。粘膜に直接くすりを投与すると血液への移行が速やかです。口腔粘膜や鼻粘膜への薬も作られています。口腔粘膜(口の中で溶かす)でのくすりの代表は、狭心症発作に使うニトログリセリンです。

 

胸が痛くなったら、舌の下にニトログリセリン錠を入れて溶かすと、数分で発作が止まります。鼻粘膜へのくすりは、液体の噴霧です。アレルギー性鼻炎を抑えるくすりがよく使われています。




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